イー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)は2024年版の「EF EPI英語能力指数」を発表しました。この調査は、英語を母語としない116の国と地域を対象に、約210万人のテスト結果をもとにした世界最大規模の英語力ランキングです。
結果は驚くべきものでした。日本は過去最低の92位となり、平均スコアは454ポイントと、「英語力が低い国・地域」の最下位に位置づけられています。これは前年の457ポイントからさらに低下しており、近隣諸国の中でも大きく遅れを取っています。
今回は、この原因と今後のリスクについて考えてみました。
日本の英語力低迷の背景
なぜ日本は、これほど英語力が低いのでしょうか?その理由は複合的ですが、以下のような要因が挙げられます。
教育の問題: 今の大人が学校で受けてきた英語教育は、受験対策としての文法や読解に偏りがちで、スピーキングやリスニングといった実践的なスキルが軽視されています。その結果、「英語を話す」という機会を十分に持たないまま大人になってしまっているのです。
文化的要因: 日本人特有の「完璧主義」が学習の障壁とも考えられます。「間違ったら恥ずかしい」「発音が悪いと思われたくない」という意識が、話す勇気を奪い、結果として英語に対する苦手意識を強化しています。実は、私自身もこういった考えは多少なりともあり、今までずっと英語を話す際のハードルになっていた事実は認めざるを得ません。だからこそ、自分の子供や、自分のクライアントには、とにかく英語完璧主義に陥ってもらわないよう、気を付けています。
環境: 日常生活で英語を使う必要性が低いことも、習得のハードルを上げています。英語を実践的に使う機会が限られているため、「使わなくても困らない」という状況が学習の優先順位を下げています。
英語力低下のリスク
先ほどの「環境」の内容を読む限りは、英語力が低くても、別に良いのでは?と思わせてしまうかもしれませんね。ただ、実際には英語力の低下は、個人にも国にも大きなリスクをもたらします。例えば…
観光: 英語力が低いことで、海外旅行や国際交流の楽しみが制限されるケースも少なくありません。旅行先で言葉の壁に直面し、トラブル対応や現地の人との交流が難しいと感じることが増えます。また、今は日本を訪れる外国人観光客の数が伸びていますが、実際に日本を訪れた外国人の中には、「日本は英語が通じない」という不満を抱き、「もう来ないだろう。」と言っている方もいるくらい。そういった印象が広まってしまうと、外国人観光客離れも今後起きてくるかもしれません。
訪日外国人旅行者が困ったことは? by 国土交通省観光庁
国際的な競争力: 英語力の低さは、国全体の競争力にも影響を与えます。外国人観光客の受け入れ態勢が不十分になったり、国際的なビジネスチャンスを逃したりするリスクが高まります。
キャリアの可能性: 英語力はキャリアの可能性を広げる重要なスキルです。英語ができるだけで、一気に就職先の選択肢も広がります。また、海外駐在や国際プロジェクトに参加する機会を得るには、英語力が大きな鍵となります。これが不足していると、昇進や新たな挑戦の機会を逃してしまうかもしれません。
海外駐在員としてのジレンマ: 先ほど、海外駐在をするには英語が必要だと書きましたが、実は、英語があまり話せない、聴き取れない、という状態で海外駐在のポジションを得る方も中にはいます。そういった場合、英語力を磨く努力をしないと、以下のようなトラブルに出会うことになります。
- 現地スタッフとの意思疎通: 「英語で説明しづらい」と感じ、伝えたいことを簡単に済ませがちになり、結果として現地チームとの信頼関係構築に苦戦します。
- 現地での孤独感: 英語を話せないことが原因で、同僚や友人との会話を避けるようになり、孤立感を覚えるように。
- 仕事の成果への影響: 会議やプレゼンで自信を持てず、日本にいたときとは比較にならないほど、実力が発揮できません。周りからも「仕事ができない人」という評価に…。
- 日本人社員の印象の低下: 駐在員のポジションは、現地のスタッフからすると「会社が、わざわざ高い予算をかけて派遣してくるのだから、きっと優秀な社員が来るのだろう」と期待されている可能性が。なのに、上記に書いたようなことが起きてしまうと、日本人社員全体の印象が悪くなります…よね?
他国と比べて見えるギャップ: 日本 vs. 韓国
では、次に近隣諸国に目を向けてみましょう。アジアだけに絞った「EF EPI英語能力指数」の順位は23カ国中16位。アジアには、日本と比べるとまだまだ発展途上な国も多い中で、この順位。あなたはどう感じますか?
ちなみに、お隣の韓国は2024年のランキングで50位に位置し、平均スコアは523ポイントと、日本を大きく上回っています。韓国が成功した理由は何でしょうか?
教育改革: 韓国では、学校教育においてリスニングやスピーキングが重視されるようになり、試験内容も実用的な英語力を測る方向にシフトしています。
社会的な需要: 国際的な競争力を高めるため、多くの企業が社員にTOEICやIELTSのスコアを求めています。
英語への投資: 韓国では、語学学校やオンラインレッスンなどへのアクセスが広く普及しており、英語学習への投資が一般的です。
韓国は、かつて日本と同じような課題を抱えていましたが、国を挙げて英語力向上に取り組むことで、大きな進展を遂げています。一方で、日本はこれらの改革が遅れており、その差がランキングにも反映されているのです。韓国の英語教育については、次回、より詳しく触れていきたいと思いますので、お楽しみに!
私たちがいま、動き出すべき理由
日本の英語力が過去最低という現実は、単なるランキングの話ではありません。それは、私たち一人ひとりがグローバル社会で自分の可能性を広げるチャンスを逃し続けていることを意味します。
韓国や他の国々が着実に英語力を高める中、私たちが「英語は必要ない」と目を背けることは、世界から取り残されることにほかなりません。英語はただの言葉ではなく、新しい仕事、ネットワーク、知識、文化への扉を開く鍵です。その鍵を手に入れる努力を始めることこそ、いま私たちに必要な危機感なのです。
ですが、恐れる必要はありません。どんなレベルからでも始めることができます。私は、大人になってから本格的に英語を学んだ方が、海外で堂々と仕事をしたり、生活している方たちを大勢見てきました。
ちなみに、英語ではありませんが、私の祖母は60歳を超えてからスペイン語を学び始めました。そして実際にスペインに行って、学んだ表現を積極的に使いながら、現地の方たちをコミュニケーションをとっていました。
本人のやる気と環境づくり次第で、どのタイミングからでも語学力を高めることはできるのです!
先日のランキングが示す現状を「危機」として終わらせるのではなく、未来への「チャンス」に変えるために、私たちは何をすべきなのか。答えはシンプルです。まずは行動を起こすこと。そのためのサポートを、私は全力で提供していきます。
英語学習は、決して楽な道のりではありません。毎日コツコツと英語に触れることは、英語学習において非常に重要だとは、きっと皆さんも分かっていることでしょう。しかし、独学で続けるのは難しく、モチベーション維持や学習方法の選択に悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
そんなあなたにオススメしたいのが英語コーチング。あなたの目標や学習レベルに合わせて、最適な学習プランを作成し、英語力のアップを図ります。
英語学習におけるコーチングのメリットの一部をご紹介すると…
- 苦手意識や心理的障壁を克服できる
- 自分に合った学習方法を見つけられる
- モチベーションを維持できる
- 効率的に学習できる
- 目標達成までの最短ルートを歩ける
とこのような感じです。毎日少しずつでも英語に触れ、着実に英語力を向上させていきましょう。1人だと英語学習が難しいと思っている方は、ぜひ英語コーチングを取り入れてみてください。
下記の記事では、英語学習にコーチングを取り入れることの意義について詳しく解説しています。
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
今年こそは、1つでも順位を上げられるように。ぜひ近い将来、「日本人の英語力、上がった?」って、外国人に思わせましょう!
にほんブログ村