パートナーの方の海外赴任や海外留学に帯同する女性たちは「駐在妻」「駐妻」と呼ばれています。最近では、奥さんの海外赴任や海外留学に帯同する男性も少しずつ増えてきて、「駐在夫」「駐夫」という言葉も出てきました。
皆さんは「駐在妻」「駐妻」「駐在夫」「駐夫」という言葉に、どんなイメージをお持ちですか?
私は、とても華やかなイメージを持っていました。
だからこそ、自分が駐妻になると知ったときは、(海外で暮らすことに憧れていたので)嬉しい反面、そんな華やかな世界に溶け込めるか不安もありました。
華やかとは程遠い、駐在妻生活
いざ、海外に駐妻として生活をし始めると、華やかどころか、結構泥臭い生活が待っていました。住んだ先が東南アジアだったから、というのが大きな理由かもしれませんが、
- 汗だくになりながら買い物
- 家の不具合(エアコンの水漏れなど)の修理対応に追われる
- 時間通りに来ないデリバリーにイライラ
- 有名店のケーキをデリバリーしたら、一部食べられていた…
- 旦那が出張続きで、平日はほとんど家におらず、慣れない海外でワンオペで子育てする
- 一時帰国を終えて(海外の自宅に)帰宅したら、メイドが家族を呼んで自分の家で生活していた
以上は、一部、知人の海外経験談も含まれていますが、駐在妻友達の中でよく聞かれるアルアルネタのほんの一例。
そんな慣れない対応に四苦八苦している駐在妻たち。中でも「今回が初めての海外生活!」という女性の多くは、日本を発つ直前までバリキャリ(=バリバリ働くキャリアウーマン)だった方も。
そんな女性たちの中には、突然の退職や休職(企業によっては配偶者同行[帯同]休職という制度があったり、育休を使いながら海外駐在に帯同している場合も)により、自身の存在意義が揺らぐような感覚を覚える方もいます。
「これから旦那さんが海外に転勤になるかもしれない」という方は、「今まで築き上げたキャリアはどうなってしまうんだろう?」と不安を抱えていたりもするのではないでしょうか。
…こんな感じで、実際には華やかどころか、日本にいたときには無かった不安で苦しんでいたり、相談相手もいないまま悩んでいる女性も多いのが「駐在妻」「駐妻」の現実でもあります。(もちろん楽しんでいる人も大勢いますよ!)
でも、そんな海外赴任帯同中の方でも、海外生活を満喫しながら、「働かずに」自己成長やキャリアの準備を進めることができるんです。まずは私が会社員を辞めて、駐在妻になり、現職である英語コーチになるまでの過程をご紹介します。
会社員から専業主婦になり、英語コーチとして独立するまで
私が駐在妻になるために仕事を辞め、最初に移り住んだ国がシンガポールでした。とっても小さい国ではありますが、観光地として世界中から注目を浴びているために、私にとっては訪れたいスポットが山のようにある魅力的な国でした。
最初は夫の会社のご家族(日本人)と、同じコンドミニアムに住む日本人と知り合い、そこから頻繁にランチやアフタヌーンティーに行く日々。
日本にいたときは共働きだったので、自分が出かけるときは自分のお財布からお金を出していましたが、シンガポールでは私は収入ゼロ。ランチやアフタヌーンティー代はもちろん夫のお財布から出していました。
日本では仕事で忙しく、会社の近くでしかランチする機会はなかったですし、アフタヌーンティーなんてもってのほか!だから、このシンガポールでの贅沢な時間の過ごし方は楽しかったのですが、やはり夫のお金を使う後ろめたさはずっとありました。
また夫は海外でキャリアを磨いていく一方で、私は無職…。
もちろん海外で子育てをしながら専業主婦をやることは決して簡単なことではないのですが、こういったライフスタイルが私にとっては初めての経験だったので、徐々に違和感を感じるようになり、「このの違和感から脱却したい…」と思うようになりました。
そこで出会ったのがセルフコーチング。それ以降のことは、こちらに詳しく書いてあるので、ぜひ読んでみてください。私と同じような後ろめたさや違和感を感じる人にとっては、何か行動を起こすきっかけになると思います。
私が受けたセルフコーチング以外に、駐在帯同中にキャリアアップのためにできることはもちろんあります。今回は、仕事以外の7つのキャリアアップ方法をご紹介しますね。
海外駐在帯同中に実践できる7つのキャリアアップ方法
1.語学学習
海外での生活を通じて、現地の言語を学ぶことは大きなメリットです。現地の言語を習得することで、帰国後の就職活動での競争力を高めることができます。アメリカだと英語を母語としていない人のために、州の運営しているコミュニティカレッジや地元のコミュニティ(教会や図書館)でESL(English as a Second Language)というものも開講されています。現地の言語学校やオンラインの語学コースを活用し、積極的に学習に取り組んでみましょう。
2.専門スキルの習得、資格取得
海外駐在中には、自分の専門分野に関連するスキルを磨く絶好の機会です。現地の大学を聴講したり、オンラインの専門講座を受講するなど、自己啓発に取り組んでみるのも良いでしょう。今住んでいる国で役立つスキルだけでなく、帰国後に備えて、即戦力となるスキルを身につけるのもオススメです。また、一見、帰国後の転職活動には直結しなさそうな習い事にも、ぜひチャレンジしてみてください。思いがけず自分に合った習い事だった場合、その道を極めたいと思うかもしれません。何事も挑戦する前から諦めてしまうのはもったいないですよ。
3.読書
外国語に囲まれて生活していると、ふと日本語の活字が恋しくなることはありませんか?読みたかった本を片っ端から読んでみるのも、時間のある今だからこそできる贅沢と言えるでしょう。将来に向けて、自己啓発書やビジネス書を読むのもあり、小説を読んで現実逃避するのもあり、読書と言っても、目的によってさまざまな活用方法があります。
大都市だと日系の書店も進出していたりもしますが、値段が何倍にもなっていて、とても気軽には買えなかったりしますよね。そんな海外生活の強い味方が電子書籍。kindleなどのアプリやデバイスを持っていれば、海外にいても日本と同じ金額で本が買えるので本当にありがたいです。しかも、海外引っ越しとなると、極力荷物は減らしたいですよね。そんな悩みにも答えてくれるのが電子書籍です。スマホにアプリを入れれば読めますが、長時間読書をしたいという方にはやはり専用のデバイスの方が目が疲れにくいので、日本で購入しておかれることをオススメします(お住まいの国で必ずしもデバイスが売っているとは限らないので)。
4.ボランティア活動
パートナーの会社の規定やビザの関係で、「駐在妻」「駐妻」の身分では働けないからキャリアが中断されてしまう、と心配されている方も多いでしょう。でもご安心ください。ボランティア活動は、特定のスキルが必要ない場合が多く、誰でも参加しやすいのが特徴な上に、社会貢献の一環として高く評価されます。現地の団体や学校、地域コミュニティに参加し、自分の専門知識や経験を活かして貢献しましょう。ボランティア活動は人脈形成やスキルの向上にもつながり、帰国後の就職活動において強力なアピールポイントとなります。またボランティア活動を通して、現地の人とのコミュニケーションを深めていくこともできます。
5.プロボノ活動
プロボノ活動は、専門的なスキルや知識を持つプロフェッショナルが、その能力を生かして社会貢献を行う活動です。プロボノはラテン語の「pro bono publico(公共善のために)」に由来し、自分の専門性を活かして、非営利団体や社会的課題を持つ組織を支援することが一般的です。
私自身も、NPO法人サービスグラントが行っているプロボノ活動の中の“ママボノ”に参加したことがあります。こちらは、育休復帰や再就職を目指している休職中、離職中の女性を対象としたプロボノです。コロナ禍だったので、オンラインで全てが完結するように、参加者で知恵を出し合って、プロジェクトを進めていきました。今まで私が所属していた業界とはまったく異なる業界から人が集まってきていたため、それぞれが持っている知識がお互いにとって非常に新鮮で学びのあるもので、同じ業界の人たちと働くとき以上に、お互いに尊敬の気持ちを持って接していたように感じます(笑)。また、普段出会うことのない多様な人々との出会いの場を提供してくれるので、新しい人脈を築く機会になります。
冒頭で「その能力を生かして」と書きましたが、自ら希望を出せば、経験のないことにもチャレンジできます。例えば、仕事で人のマネジメント経験がなかったとしても、プロボノ活動内でリーダーとして活躍することができれば、それは確実にその人のキャリアとなりますよ。
6.ネットワーキング
海外での生活中に築いた人脈を有効活用しましょう。現地の日本人コミュニティや各国から集まる駐在妻のためのコミュニティも多く存在します。現地で開催されるイベントに参加し、関係性を深めることで、将来の仕事のチャンスを広げることができます。積極的に交流し、世界中から集まる人々とのつながりを築くことで、帰国後のキャリアパスにおいて有利な状況を作り出すことができます。どこから始めて良いか分からない方は、ぜひFacebookで”お住まいのエリア名 expats”などのワードで検索をしてみてください。エリアに特化したexpat communityに出会える可能性が高いですよ!
ちなみに私は、こういったイベントの主催者側に立ったりもしました。多国籍な参加者となるため、食事の制限などに配慮をしたり、文化の違いを越えてみんなが楽しめるように最低限のルールを決めて、参加者に同意を求めたり、日本では「言わなくても分かる」で済んでいたことが「伝えないと分からない」という状況なので、大変ではありましたが新鮮な経験でした。また、何の連絡もなしに欠席する人も多く、会場となるお店には迷惑をかけたりもしましたが、日本人の感覚が当たり前ではないということや日本人の素晴らしさを改めて学ぶ良い経験になりました。そして何よりも、主催者になることで、みんなに顔や名前を憶えてもらいやすくなるので、一気に現地の知り合いを増やすことができ、そこから人間関係がグンと広がりました。
7.海外経験を言語化
海外生活の中で知らず知らずのうちに磨かれている決断力、判断力、フレキシビリティ、異文化適応力、調整力…などの能力。これらは、どのように身に付き、生活の中で生かしてきたのかを言語化してみましょう。言語化する先は、日記でも、ブログ、またはお友達や家族などに直接話してみても良いでしょう。言葉に表すことで、頭の中が整理されます。他者に伝えた場合は何らかの反応があるでしょう。海外生活の中で身に付けた能力は、自分が思っている以上に、他者は評価してくれるはず!ここで言語化したことや他者からの評価は、転職活動の際に履歴書などを書く際にもきっと役立ちます。
海外駐在帯同はキャリアの中断ではない!
パートナーの海外駐在や海外留学に同行する期間は、キャリアの中断ではありません。
「未来のキャリアのためのステップアップ期間」と捉えましょう。
私も、突然専業主婦になり、時間ができた分、余計なことを考えすぎて将来に希望が持てず、悩んだ時期もありました。でも、日本にいたころを思い起こすと、当時は自分の興味があることを学びたくても学べなかったんですよね。でも、夫のおかげで時間ができた!なら、学びたかったことを学ばないともったいない!と、ある日ふと思ったんです。
海外駐在帯同中には、自己成長やキャリアの準備を進めることができる貴重な時間があります。現地の言葉を学んだり、専門スキルの習得、ボランティアやプロボノ、ネットワーキングの活動、そして海外生活を言語化すること等は、自分の可能性を広げたり、本帰国後の再就職においても大いに役立つでしょう。日本に帰国せず、スライドになったとしても、きっと次の国で役に立つはずです。ぜひ、海外駐在中の有意義な時間を活かし、将来のキャリアに繋げるための努力を積極的に行ってください。
もし、「何か始めてみたいけど、何をしたいのかすら自分でも良く分からない」という方は、私のご提供しているオンラインコーチングサービス【駐妻/駐夫のためのライフキャリアコーチング】もぜひ検討してみてください。私と一緒に、自分も家族も犠牲にしない、あなたらしいライフキャリアを探っていきましょう!
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